「ちよう、はたり」 [奈良平安時代]
熊谷市の百貨店で開催されていた熊谷市美術家協会会員展の書の部にて、染織家で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)・志村ふくみさんの随筆集『ちよう、はたり』から引用された書が展示されていました。熊谷市出身の書家・高橋香韻さんによる作品です。「ちよう、はたり」とは、著者の母が師と仰いだ青田五良の機の音で、柳宗悦の民芸運動に従い、薄暗い土間で一心不乱に織っていた青年の機音が、著者の耳底に甦るという内容から始まります。その中に所収されている奈良への思いについて語った一節が揮毫されています。あおによし奈良に向けての趣意が込められており、奈良の風景が思い浮かぶようです。
高橋香韻「ちよう、はたり より」
奈良へいくといつも思う
日本の角に飛鳥
白鳳 天平が
生きていると
遠く古代から消えていった
東大寺の鴟尾
春日の森を逍遥する
鹿の瞳に宿っている
著者紹介:志村 ふくみ
1924年滋賀県近江八幡生まれ。55年、植物染料による染織を始める。57年、第四回日本伝統工芸展に初出品で入選。第五回展から第八回展まで、紬織着物により特選を受賞。83年『一色一生』(求龍堂)により大佛次郎賞受賞。86年、紫綬褒章受章。90年、紬織の優れた染織技術により国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。93年、文化功労者。
高橋香韻「ちよう、はたり より」
奈良へいくといつも思う
日本の角に飛鳥
白鳳 天平が
生きていると
遠く古代から消えていった
東大寺の鴟尾
春日の森を逍遥する
鹿の瞳に宿っている
著者紹介:志村 ふくみ
1924年滋賀県近江八幡生まれ。55年、植物染料による染織を始める。57年、第四回日本伝統工芸展に初出品で入選。第五回展から第八回展まで、紬織着物により特選を受賞。83年『一色一生』(求龍堂)により大佛次郎賞受賞。86年、紫綬褒章受章。90年、紬織の優れた染織技術により国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。93年、文化功労者。
熊谷空襲の痕跡―市内工事立合調査の一コマから― [戦跡]
市内遺跡隣接地での工事立会調査に際し、新築建物の基礎の入る根切溝から火災痕跡を残す瓦・陶器などの混在する灰燼層が現れました。この地には戦後すぐに建てられた家屋があったこと、また当時の被災地図の範囲内に入っていることから、瓦礫は第二次大戦時の熊谷空襲による被災遺物層である可能性が高いと考えられます。 現地表から約15cm下位に深さ30~50cm程の大きな穴を所々に掘り、瓦礫を埋め片付けたと想定されます[写真1]。
[写真1] 木炭片や焦土も多量に含まれ、瓦礫層の厚さは最大で50cmもありました。瓦礫に含まれる瓦は当時の住宅によく使われた桟瓦[写真3]で、対角に組み合わせの切り欠きを持つものです。陶器には瀬戸焼の皿や甕の破片、溶け歪んだガラスなどもありました[写真2]。
[写真2] 当日は、夏日だったとか。熊谷のあの日は思わずにはいられない立会の時間でした。
[写真3] なお、熊谷市内の空襲範囲を示す「ジオラマ模型」が市立図書館郷土資料展示室にありますので、ご案内しておきます。
[写真1] 木炭片や焦土も多量に含まれ、瓦礫層の厚さは最大で50cmもありました。瓦礫に含まれる瓦は当時の住宅によく使われた桟瓦[写真3]で、対角に組み合わせの切り欠きを持つものです。陶器には瀬戸焼の皿や甕の破片、溶け歪んだガラスなどもありました[写真2]。
[写真2] 当日は、夏日だったとか。熊谷のあの日は思わずにはいられない立会の時間でした。
[写真3] なお、熊谷市内の空襲範囲を示す「ジオラマ模型」が市立図書館郷土資料展示室にありますので、ご案内しておきます。
奥原晴湖一門書画研究会 [普及事業]
4月21日、熊谷市上之にある龍淵寺本堂において奥原晴湖一門書画研究会が開催されました。龍淵寺近くの旧上川上村に画室を有し晩年の画業に励んだ奥原晴湖とその一門の回顧する行事として、絵画を個人に募り、当日限りの一般公開・展覧会及び講演会「奥原晴湖の生涯と芸術―晴湖芸術の変遷と「南画」の影響関係をめぐってー」を開催しました。冒頭の講演会には本堂に入り切れない程の約150名の聴講者が集まり、一日を通しての展覧会への来場者は約300名を数える盛況となりました。近隣からの方々や研究者、遠方から駆けつけてくれた方々をはじめ、晴湖芸術への関心の高さを感じることができました。龍淵寺には晴湖や最たる後継者となった渡辺晴嵐の墓石もあり、絵の観覧とともに墓参する方や、画室跡やその前面にあり復元された「晴湖の道」を訪れる方も多くいました。当地域はラグビーワールドカップ2019の試合会場にも近く、主催した晴湖の道保存会は、外国人観光客などにも晴湖の絵に興味を持ってもらえるように新たな方策についても模索を進めているとのことです。
本堂内の展示の様子。内陣の装飾と合わせてきらびやかな展示となった。
多くの掛軸作品が展示され、門下生を含めた晴湖芸術の発信の場となった。
講演会「奥原晴湖の生涯と芸術」
金子兜太氏の俳句世界を学ぶ [普及事業]
市政宅配講座『国指定史跡「幡羅官衙遺跡郡」を知る』at 別府小学校 [普及事業]
今年度から、熊谷市では幡羅官衙遺跡群が国史跡の指定を受けたことから、市民の皆さんにその存在を知っていただくことを目的に、市政宅配講座の一つに『国指定史跡「幡羅官衙遺跡郡」を知る』を新たに設けました。
昨日は、初めてのその講座を別府小学校の6年生が受講しました。生徒の皆さんはまだ歴史の授業を習っていないため、難しい内容だったかもしれませんが、興味をもって熱心に受講していました。
講座の最後には、西別府祭祀遺跡、西別府廃寺の出土遺物(石製模造品、瓦等)を実際に触れる、持つという時間を設けました。皆さん瓦を持つと「えー、重い」、「持ち上がらない!」などと言って古代の歴史を実際に持ち上げて、ワクワクしながら体験していました。
講座を担当した江南文化財センターの吉野健所長は「幡羅官衙遺跡群を多くの方々に知ってもらえるように、皆さんも関心を持って学び、遺跡の宣伝マンになってほしい」と受講者に語りかけていました。
昨日は、初めてのその講座を別府小学校の6年生が受講しました。生徒の皆さんはまだ歴史の授業を習っていないため、難しい内容だったかもしれませんが、興味をもって熱心に受講していました。
講座の最後には、西別府祭祀遺跡、西別府廃寺の出土遺物(石製模造品、瓦等)を実際に触れる、持つという時間を設けました。皆さん瓦を持つと「えー、重い」、「持ち上がらない!」などと言って古代の歴史を実際に持ち上げて、ワクワクしながら体験していました。
講座を担当した江南文化財センターの吉野健所長は「幡羅官衙遺跡群を多くの方々に知ってもらえるように、皆さんも関心を持って学び、遺跡の宣伝マンになってほしい」と受講者に語りかけていました。
星溪園投句優秀賞発表! [記念物]
企画展「田んぼ―埼玉、人と水の風景―」in 埼玉県立歴史と民俗の博物館 [展示]
埼玉県立歴史と民俗の博物館では企画展「田んぼ―埼玉、人と水の風景―」を開催しています。
埼玉の自然や郷土と深いつながりのある「田んぼ」に着目した展覧会です。
展示概要 (展覧会サイトより)
埼玉県には、低湿地・台地・丘陵地・山地など、起伏に富んだ様々な地形があり、それぞれの環境に即した田んぼの形や農耕技術が発達しました。また、田んぼは収穫の場所であるだけではなく、遊びや祈りの場でもありました。本展では、国指定重要有形民俗文化財「北武蔵の農具」(当館蔵)や国登録有形民俗文化財「上尾の摘田・畑作用具」(上尾市教育委員会蔵)などの民俗資料を通して県内各地の多様な田んぼと耕作技術を学ぶとともに、考古資料や絵図などの様々な資料から、人と水が織りなす埼玉の田んぼ風景を見つめます。
●会期
平成30年3月17日(土)~5月6日(日) 9:00~16:30(観覧受付は16:00まで)
休館日:月曜日(3/26、4/16、4/30を除く)
●展示解説
●学芸員による展示解説
4月21日(土)、5月6日(日)
※いずれも13:30~14:00(事前申込不要)
●主な展示資料
国指定重要有形民俗文化財「北武蔵の農具」
マンガ(馬鍬)・ミズグルマ(水車) ・ジュバン(襦袢)・印籠箪笥
●観覧料
一般400円、高校生・学生200円
※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方(付添1人含む)は無料
●会場
埼玉県立歴史と民俗の博物館 特別展示室・季節展示室
●主催
埼玉県立歴史と民俗の博物館
●後援
埼玉新聞社、テレ玉、F M N A C K 5、JA埼玉県中央会
●関連事業
●歴史民俗講座「農具百珍」
日 時:平成30年4月28日(土)14:00~15:30 (13:30開場)
講 師:戸邉 優美(当館学芸員)
会 場:当館 講堂
費 用:無料
定 員:150名(先着順)
申 込:平成30年3月28日(水)8:30から電話(048-645-8171)による申込み
●問合せ
埼玉県立歴史と民俗の博物館 展示担当
〒330-0803 さいたま市大宮区高鼻町4-219
TEL 048-645-8171 FAX 048-640-1964
●展覧会ホームページ
http://www.saitama-rekimin.spec.ed.jp/?page_id=533
埼玉の自然や郷土と深いつながりのある「田んぼ」に着目した展覧会です。
展示概要 (展覧会サイトより)
埼玉県には、低湿地・台地・丘陵地・山地など、起伏に富んだ様々な地形があり、それぞれの環境に即した田んぼの形や農耕技術が発達しました。また、田んぼは収穫の場所であるだけではなく、遊びや祈りの場でもありました。本展では、国指定重要有形民俗文化財「北武蔵の農具」(当館蔵)や国登録有形民俗文化財「上尾の摘田・畑作用具」(上尾市教育委員会蔵)などの民俗資料を通して県内各地の多様な田んぼと耕作技術を学ぶとともに、考古資料や絵図などの様々な資料から、人と水が織りなす埼玉の田んぼ風景を見つめます。
●会期
平成30年3月17日(土)~5月6日(日) 9:00~16:30(観覧受付は16:00まで)
休館日:月曜日(3/26、4/16、4/30を除く)
●展示解説
●学芸員による展示解説
4月21日(土)、5月6日(日)
※いずれも13:30~14:00(事前申込不要)
●主な展示資料
国指定重要有形民俗文化財「北武蔵の農具」
マンガ(馬鍬)・ミズグルマ(水車) ・ジュバン(襦袢)・印籠箪笥
●観覧料
一般400円、高校生・学生200円
※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方(付添1人含む)は無料
●会場
埼玉県立歴史と民俗の博物館 特別展示室・季節展示室
●主催
埼玉県立歴史と民俗の博物館
●後援
埼玉新聞社、テレ玉、F M N A C K 5、JA埼玉県中央会
●関連事業
●歴史民俗講座「農具百珍」
日 時:平成30年4月28日(土)14:00~15:30 (13:30開場)
講 師:戸邉 優美(当館学芸員)
会 場:当館 講堂
費 用:無料
定 員:150名(先着順)
申 込:平成30年3月28日(水)8:30から電話(048-645-8171)による申込み
●問合せ
埼玉県立歴史と民俗の博物館 展示担当
〒330-0803 さいたま市大宮区高鼻町4-219
TEL 048-645-8171 FAX 048-640-1964
●展覧会ホームページ
http://www.saitama-rekimin.spec.ed.jp/?page_id=533
星溪園長唄鑑賞会 [記念物]
国登録有形文化財「熊谷聖パウロ教会」でのチャペルコンサート・建物のレクチャー [建造物]
4月12日、日本聖公会熊谷聖パウロ教会(熊谷市宮町)で、復活節に合わせチャペルコンサート「歌とオルガンのひととき」が開催されました。八戸功司祭からの挨拶に続き、イタリア・フィレンツェ在住の音楽家、順子・グレイさん、ジェームズ・グレイさん夫妻に、平井久仁子さん、林百香さんが加わりオルガンと声楽の演奏を披露しました。曲目はバッハの「主よ人の望みの喜びよ」など、中世からバロック時代にかけての音楽を中心にプログラムを編成しました。コンサート終了後には建物について講座を開きました。「熊谷聖パウロ教会の建築」と題して、建設された当時のイギリス国教会に共感する同市の人々の活動や設計者を紹介しました。室内上部の木製のトラス形状や、上質なレンガが使われ『熊谷空襲』を免れることができたことなど、熊谷の歴史を織り交ぜながら建物レクチャーを行いました。約50名の来場がありました。
チャペルコンサート
建物のレクチャー
星溪園は素敵な植物園 [記念物]
熊谷市名勝「星溪園」・玉の池
熊谷市名勝「星溪園」の中央にある玉の池の水面に白い模様が浮かんでいます。この正体は園内にあるケヤキの花で、開花後に落ちて池に浮かんでいます。雌雄異花で風媒花、花弁はなく、粉のように舞い落ちます。
星溪園では一説によると100以上の樹木の種類が植生されており、多様性のある森を形作っています。こうした植物や樹木について、どのような種類があるか、目の前にある樹木の名前は何か、来場者からの関心に応えるために、解説プレートを設置しました。解説にはQRコードも含まれ、スマートフォンなどからもインターネットとリンクし、さらなる情報を得ることができます。四季を通して多様な植物を観察できる「星溪園は素敵な植物園」。そんなネーミングがあっても良いのではないでしょうか。
樹木の解説プレート