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宮下遺跡発掘調査26 [発掘調査]

 宮下遺跡発掘調査の26回目の紹介です。
 宮下遺跡の発掘調査は、現在、5月末終了予定で、作業を進めている状況です。
 
 さて、調査と同時に進めている出土遺物の整理で、銙帯金具(かたいかなぐ)と思われる金具が、第66号住居跡から出土していることが分かりました。この住居跡は、出土土器から8世紀後半のものと考えられ、土器を硯に転用した、転用硯と呼ばれるものも出土しています。
 この金具は、古代の役人が儀式の際に締めた帯の先に付けられた、「鉈尾(だび)」 と呼ばれる金具ではないかと思われます。
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 ちなみに、銙帯金具は、当時の法律である養老衣服令のなかで材質や色が決められており、出土した金具は銅製であることから、六位以下の役人が締めていたものと推定されます。
当時、この集落には身分の高い人が居住していたものと考えられます。


中条古墳群発掘調査1-2 [発掘調査]

 先日から始まった発掘調査ですが、現在、竪穴住居跡と思われる遺構の人力による掘削中です。
 住居跡のプランはまだ不明ですが、土器が集中して出土していて、表土除去の際にも見られた土師器S字口縁台付甕のほか、土師器坩も見られ、概ね古墳時代前期であることは間違いないようです。
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土器出土状況
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作業員による掘削作業

中条古墳群発掘調査1 [発掘調査]

 本日より、上中条地内の個人専用住宅建設予定地において、発掘調査が始まりました。
 調査は、まず、住居跡などの遺構が確認される面まで掘削機で表土を除去することから始まります。
 表土除去の結果、まだ明瞭な遺構は確認できていませんが、当時の地表面である地山において、色の違う土が堆積している箇所や炭化物が散っている箇所が見られることから、集落の跡が確認されているようです。
 また、出土遺物を見ますと、古墳時代前期の土師器S字口縁台付甕や器台が見られ、この時期の遺構があることが予想されます。
 明日からは、丁寧に地面を削り、遺構の検出が始まります。
 今後の調査進展に期待が膨らみますね。
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表土除去作業風景
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土師器S字口縁台付甕
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土師器器台

諏訪木遺跡発掘調査3-2 [発掘調査]

 平成29年度を迎え、新体制の中での年度初めとなりました。
今年度も昨年度に引き続き市道新設に基づき、発掘調査を実施します。
今日は、その前段として試掘調査を実施しました。
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2か所のトレンチを入れた結果、古墳時代から平安時代にかけての住居跡、溝跡、掘立柱建物跡?などが確認されました。
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この調査結果に基づき6月ごろから発掘調査を実施する予定です。

宮下遺跡発掘調査25 [発掘調査]

宮下遺跡の発掘調査の紹介25回目。
発掘調査は、倉庫部分の調査を終了し、現在侵入道路箇所の調査を行っています。調査の終了した箇所は、鉄骨組の大きな建物が立ち上がってきています。
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前回紹介した、カーブする溝が掘り上がっています。
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断面箱薬研を呈する溝の肩の部分にピットが不規則に並ぶことが確認されています。出土遺物は少ないですが、13~14世紀にかけての陶磁器片や、鉄鍋の一部が出土しています。
この溝は、形状から考えると、やはり何らかの大規模な柵列を伴う区画施設と推測されます。

宮下遺跡発掘調査24 [発掘調査]

市内千代地内の宮下遺跡の発掘調査の紹介24回目。
現在工場建設予定箇所の調査をほぼ終了し、進入路や付帯設備箇所の調査を行っています。
前回紹介した開発予定地の北西で見つかった東西方向の中世の溝が、東隣の調査区でも見つかっています。
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黄色い土が地山の関東ローム層で、茶色い3m程の幅の帯が溝跡です。隣の調査区では直線に延びていた溝が、カーブし南側に曲がっていることが確認されています。どうやら以前調査した埋没谷の上に確認された南東-北西方向の溝につながるようです。中世の館に関する何らかの区画溝と思われますが、その性格については今後の検討課題です。
また、遺構測量のための、ドローンによる写真撮影も行っています。
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諏訪木遺跡発掘調査3‐2 [発掘調査]

昨年11月から開始している、市内上之地内の市道新設に伴う発掘調査。調査区を反転して調査を進めています。
現在、弥生時代に属する、方形周溝墓が確認されています。10m程の規模で方形に溝を巡らせ、四隅が途切れるタイプのものです。
RIMG3849.jpg方形周溝墓調査状況
この他、近世の断面薬研状を呈する溝が確認されており、17世紀前後のかわらけや焙烙、木製品などが出土しています。
RIMG3845.jpgかわらけ出土状況

宮下遺跡発掘調査23 [発掘調査]

宮下遺跡の発掘調査の紹介23回目。
前回紹介した人物埴輪埴輪の口の部分が出土し接合しました。
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やや口角が上がり、笑っているようにも見えます。目の部分が出土すると良いのですが。
また、今回の開発予定地の北西隅で、中世の溝跡が見つかっています。上面幅3m程で、断面は薬研型を呈しています。溝の肩の箇所に柱穴列が並ぶのが特徴です。遺物は少なく、中世の青磁片(龍泉窯産)が出土しています。
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この溝は、2013年に発掘調査を実施した南方遺跡で検出された、溝に類似します。
IMGP3912.jpg南方遺跡
南方遺跡は、本遺跡の南西に開析谷を挟んで立地し、調査の結果中世から近世初頭にかけての掘立柱建物跡や溝跡等の館跡が確認されています。(報告書PDF5.77Mb
伝承では天正18年に豊臣秀吉の関東攻略に際し落城した深谷城から、城主上杉氏憲の三男憲成が、当地に居住していた小久保氏を頼って移り住んだとされており、上杉氏または小久保氏の館跡である可能性が推測されています。
今回の調査地点は、南方遺跡から300m程離れますが、調査区内には「押出」の地名も残されていることから、中世館跡に関連する施設である可能性が考えられます。

宮下遺跡発掘調査22 [発掘調査]

宮下遺跡の発掘調査の紹介22回目。
調査は、調査区西端の埋没谷と遺構の調査が終盤にさしかかっています。
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開発予定地の北西隅に浄化槽が埋設されることになり、急遽調査を行ったところ、近世の溝跡から、古墳時代の埴輪片が出土しました。
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人物埴輪顔面の一部で、鼻と下部左側には口角の一部、上部左側には目の切れ込みが確認できます。胎土には細かい砂粒を比較的多く含んでいるのが特徴です。
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鼻は高く、きれいなつくりとなっています。
近世の溝からの出土ですが、古墳の周溝を切っている可能性もあり、今後調査を進めて、古墳が存在した可能性や、遺跡の西側には権現坂埴輪窯跡群があり、粘土採掘坑や工房跡も見つかっていることから、関連性を探っていきたいと思います。

宮下遺跡発掘調査21 [発掘調査]

宮下遺跡の発掘調査の紹介21回目。
調査は、調査区西端の埋没谷と遺構の調査を行っています。
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↓は平安時代の焼失住居跡です。北側にカマドが設けられており、床面からは炭化した木材が出土しています。失火にしては完形の土器がほとんど出土していないことから、意図的に火をつけた可能性も考えられます。
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