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出土瓦に残る模様4「指紋―その3」 [奈良平安時代]

 生産工程上、指紋の付着時期は成形台からの移動時で、乾燥工程や窯詰工程での確認時に最終工程として、削り落とすなどの調整を省いていると考えられます。指紋が残る瓦の状態は、生産現場での時間的余裕のない状況を反映しているのでしょうか。
 別案として、指紋瓦の遺存率が国分寺では低く、寺内廃寺で高いということになると、出荷瓦の選別を経ていることになり、指紋瓦は余剰瓦として一時保管され、他所へ供給されたとも想定されます。ただ、現在の研究上の理解では同笵・同種瓦の移動は、経済上の理解ではなく、政治上の理解で解釈されており、寺内廃寺の場合も武蔵国分寺と同笵・同種瓦が多数出土するという背景には武蔵国や男衾郡の政治組織に近い、郡の寺(官の寺)、定額寺(官の寺に準じた寺格を持つ寺)などの時期があったと考えています。
 写真 指紋瓦のいろいろ 5点
出土瓦に残る模様4.jpg

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