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三角錐形石器 [縄文時代]

縄文時代早期撚糸文期の集落跡である萩山遺跡の整理作業を進めています。該期の特徴的な石器であるスタンプ型石器は、335点出土しており、深谷市四反歩遺跡の305点を抜いて埼玉県内では最多となります。
その中に、三角錐形様の石器が数点確認されています。
三角錐形石器は、三角錐形または四角錐形を呈しており、スタンプ形石器の機能と同様に、打ち欠いた底面を使用したと考えられています。スタンプ形石器との違いは、形状が三角錐形を呈していること。側面は、平坦な自然面を裏面とし他面に整形加工を施すこと。分布域が、スタンプ形石器が南関東を中心とした関東全域に見られるのに対し、三角錐形石器は北関東に限られること。石材が黒色頁岩を用いること等です。
萩山遺跡の石器の中に黒色頁岩を用いた三角錐形石器は確認できません。
ところが、黒色頁岩を用いた三角錐形石器が、萩山遺跡の柴沼下の谷を挟んで対岸400mに位置する原谷遺跡から1点出土しています。黒色頁岩は、荒川流域では産出せず、北関東では利根川上流の赤谷川流域で産出され、群馬県内では、旧石器時代より石器石材として利用されていた石材です。当時の人が、荒川で採取できる石器製作可能な別の石材を選ばず、赤谷川流域まで出かけて黒色頁岩を採取したとは考え難いことから、群馬県内の遺跡より搬入されたものと推測されます。
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群馬県内では近年、楡木Ⅱ遺跡・今井三騎遺跡・今井見切塚遺跡等の撚糸文期の大規模な集落跡が見つかっています。原谷遺跡出土の石器1点は、荒川・利根川を越えて群馬県との交流を示す資料として重要です。

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