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敲石(たたきいし) [縄文時代]

先日、縄文時代の石器を研究されている方が、縄文時代中期の集落遺跡である西原遺跡の出土石器を見学にきました。
報告書刊行時点では気付かなかった知見について幾つか指摘いただき、その中で特になるほどと思ったのが、打製石斧の製作用の敲打具としてのハンマーが出土しているとの指摘でした。
IMGP5070.jpg
上記の写真がその一つです。楕円形の礫の両側面に4箇所V字状の敲打によるくぼみが確認できます。
打製石斧は、この敲石を使用して、両極敲打技法と呼ばれる製作技法で製作されます。使用方法としては、台石の上に打製石斧の素材を立て、敲石で上部から打撃を加えます。すると敲石で打撃を加えた上部と、台石に接する下部の両端が剥離します。打製石斧の形状を整えるため、打撃場所を変えながらこの作業を繰り返すと、敲石の側面はV字状にくぼみ、結果打撃に適さなくなってきます。すると反対側の側面に打撃面を変え、さらに、持ち方を反対に変え、さらに反対側の側面に打撃面を変え、結果、4箇所のV字状のくぼみが残ることになります。
IMGP5081.jpg
西原遺跡では、このタイプの石器が数十点出土しており、1996年に刊行した報告書では敲石として報告し、用途については具体例を思いつくことは出来ませんでした。このタイプの石器が打製石斧製作用のハンマーであることについての認識は、最近の研究成果によるものとのことでした。
ちなみに、打製石斧の未製品と思われるものも確認できました。
IMGP5073.jpg
西原遺跡は石鏃の製作遺跡であり、製作関連資料が多量に出土しているのが特徴ですが、打製石斧も、通常は河原で製作していたと考えられがちでしたが、遺跡から河原が近い場合には、石材を持ち込んで製作していたようです。このほか興味深い指摘もあり、西原遺跡出土石器の再検討・再評価が必要になってきていると思いました。
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