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鉄鏃 [古墳時代]

室内整理作業では、本年度刊行予定の、立野古墳第2号墳出土遺物の整理を始めています。
凝灰岩切石積みの石室内から、鉄刀・鉄鏃等が出土しています。
今回は、その中から1点の鉄鏃を紹介します。

tetuzoku1.jpg(scanner画像)
鉄鏃は、部位の名称が聞き慣れない名称となっているので図示してみました。
鉄鏃の構造は、大きく先端部の鏃身部と柄部に分かれます。柄部は、矢柄に埋め込まれる茎部(なかごぶ)と鏃身部と茎部の間の頸部から構成されます。矢柄が接する箇所を篦被関部(のかつきまちぶ)と言い、棘状の突起が付いています。頸部と接する箇所を鏃身関部(ぞくしんまちぶ)と言います。
鉄鏃を分類する際の統一的な名称は統一されていませんが、写真の鉄鏃を紹介する時は、「長茎棘篦被五角形広根式鉄鏃 (ちょうけいとげのかつきごかっけいひろねしきてつぞく)」 というような難解な表現になります。長頸とは、頸部あるいは箆被部が鏃身の2倍以上の長さをもつものを言い、それ以下のものを短頸と言います。
本鉄鏃は、鉄身部に、獲物に刺さった時に抜け落ちないように腸抉(わたくり)と呼ばれる逆刺部(かえりぶ)が無く平らで、五角形の鏃身部と棘状篦被関部の形状となっており、古墳時代終末期の鉄鏃の特徴を示しています。
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