出土瓦に残る「指紋」 [奈良平安時代]
この瓦は、柴・板井に所在する寺内廃寺から出土したものです。何千何万に及ぶ瓦礫の中から見つかりました。この瓦は奈良時代の末ころ鳩山町を中心とした南比企丘陵に展開した窯業遺跡として名高い「南比企窯跡群」で造られました。瓦を製作した工人の指紋と思われ、生瓦の状態で瓦の端を持った時に遺された指の指紋3個がわかります。おそらく左手と思われ、写真1から見ると左側から薬指、中指、人差し指のようです。末節から中節の渦状部分や畝状部分がきれいにプリントされています。当時の瓦に指紋が残ることはあまりなく、製作時には残らないように注意していたと想像されるので、ここまではっきり指紋が残る例は珍しいと思われます。考古資料に残る指紋について研究した考古学者によると、埴輪に最も多く残り窯場での工人の移動などが想定されるそうです。
なお、指紋研究のきっかけとなったのは大森貝塚を発掘したE・S・モースが縄文土器に古代人の指紋が残っていることに気づき、これに興味を抱いたイギリス人宣教師フォールズが研究を進め、犯罪捜査にまで活用される基礎をつくったとされます。
参考 杉山晋作 1998「考古資料による指紋の基礎的研究」
[写真1]
[写真2]平瓦の隅部破片「寺内廃寺金堂跡出土」
なお、指紋研究のきっかけとなったのは大森貝塚を発掘したE・S・モースが縄文土器に古代人の指紋が残っていることに気づき、これに興味を抱いたイギリス人宣教師フォールズが研究を進め、犯罪捜査にまで活用される基礎をつくったとされます。
参考 杉山晋作 1998「考古資料による指紋の基礎的研究」
[写真1]
[写真2]平瓦の隅部破片「寺内廃寺金堂跡出土」
2018-05-01 08:52
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コメント(1)
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)
by omachi (2018-05-11 18:43)