SSブログ

古今和歌集から伊勢物語への結び [奈良平安時代]

shokad.png
高橋香韻「伊勢物語 渚の院」(中央)



先日まで開催されていた熊谷市美術展で興味深い作品が展示されていました。
高橋香韻「伊勢物語 渚の院」。平安時代の文学『古今和歌集』に含まれている在原業平の歌と、『伊勢物語』の歌を対として表現した書です。次のような内容で、春を愛でる、春を思う情景が目に浮かびます。


「世の中に
たえてさくらのなかりせば
春の心地はのどけからまし」
(『古今和歌集』在原業平)


「散ればこそ
いとど桜はめでたけれ
浮世に何か久しかるべき」
(『伊勢物語』よみ人知らず)


一つの作品と他の作品とを呼応させる表現は、文学史上の様々な場面で目にすることができます。
その作品の中に通じ合う部分などを「間テクスト性」と呼びます。書かれたものである「テクスト」と新たなる表現によって生み出された「テクスト」をつなぎ合わせ、一つの作品として昇華させる。古代から引き継がれてきた日本の美の在り方を示しているようにも思います。桜が咲く前と後の心理の移ろい。古代から描かれてきた日本人共通の美意識が込められているのではないでしょうか。





nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。