鉄の記憶 [奈良平安時代]
新年明けましておめでとうございます。
本年も熊谷市立江南文化財センターのブログ「熊谷市文化財日記」を宜しくお願いいたします。
板井・柴地域に所在した寺内廃寺からは、建築材に使われた鉄釘が他種多量に発見されました。その中の一本の釘を紹介します。大きな釘で断面四角、約24cmの長さを持っています。和釘の大型品で、古代建築物では構造材を留め置くために使われたと考えられています。柱同士を横につなぐため渡された構造材を貫板と呼び、柱の頭部付近に位置させたことからを頭貫とも呼ばれます。この頭貫か、あるいは外側から打ち付け同様の機能を持たせた長押に使用されたとも考えられます。他に鴟尾、鬼面などの装飾瓦に使用した可能性もあるでしょう。ちなみに、このような大型の釘は犬釘とも呼ばれますが、これは鉄道線路を固定した大型の釘の頭部が耳の垂れた犬の頭部の形に似ていたことから「dog spike」を直訳したものとされます。
釘の写真 寺内廃寺の大型釘(犬釘)【上】と現在の鉄道用犬釘【下】
2018-01-04 09:24
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