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赤の記憶 [奈良平安時代]

 太陽の赤、赤いバラ、赤子のイメージは古代人ならずとも「赤」は生命そのものを表わすと思わずにはいられません。同時に高貴な色、除魔、僻邪の神秘な色彩として今なお広く、様々の器物や儀式やの場で赤と出会います。 では、遺跡や遺物に出会う赤にはどんなものがあるでしょうか。その一例を紹介します。 写真は、西別府廃寺から出土した瓦で軒先を飾る用途から「軒平瓦」と呼び、文様のある面の「瓦当面」には中央から左右対象に抽象化された唐草文様が描かれています。奈良時代の都、万葉歌に「あおによし(青丹良し)」と謡われた平城京の寺院や官舎の軒先を飾った瓦と同種の文様瓦です。この瓦の下面に赤い彩色がわずかに残っています。この赤い彩色は酸化鉄を元に作られたベンガラという塗料で「丹」とも呼ばれた赤色のことです。寺院建築では建物の柱や屋根を支える垂木から軒先を塗ることに使われています。西別府廃寺出土の瓦にこの色彩が残ることは、都の寺々と同様に彩色された、高貴な建築物であったことを示しています。
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瓦に残る赤彩 西別府廃寺出土 下写真の拡大

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西別府廃寺出土の唐草文のある軒平瓦
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