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重要文化財「絹本著色阿弥陀聖衆来迎図」の銘文 [絵画史]

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重要文化財「絹本著色阿弥陀聖衆来迎図」


 平成25年6月19日に国の重要文化財に指定された、「絹本著色阿弥陀聖衆来迎図」(常光院所有)は、浄土図と来迎図を組み合わせた特殊な構成を示す作品であります。来迎図とは平安中期以降、浄土信仰に基づいて盛んになった仏画の一種であり、阿弥陀仏が諸菩薩などを従えて、衆生(しゅじょう)を極楽浄土に迎えるために人間世界に下降する様子を描いたものです。 本図では両面上部から浄土図を描き、正面向きの阿弥陀如来と聖衆の来迎を表し、最下段には宝地段が描かれ、その左右に中条常光夫妻と伝えられる男女の姿が描かれています。鎌倉時代後期の特殊な形式の浄土教絵画として貴重であると評価され、国の文化財に指定されました。現在、本図は埼玉県立歴史と民俗の博物館において保管されています。

 なお、文化庁調査官(現在は神戸大学人文学研究科)の 増記隆介氏らによる調査によって、来迎図の表装の周囲から一文字回しの銘文が発見されました。それらは『安養抄(あんようしょう)』(作者不詳)及び了恵『黒谷上人語灯録(くろだにしょうにんごとうろく)』(文永11年~12年 1274-75)より撰文されたと見られています。これが本絵図の製作時期の上限を示すものと考えられ、伝承とも近い、13世紀後半の作図である点が裏付けられたことになりました。またこれらの撰文は、中条氏館跡に建立された常光院の天台宗とも関わりが深い内容であり、一枚の仏画が美術史の領域の価値を有するとともに、時代を超えて当時の建立の歴史を今に伝える意味を持っています。




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