SSブログ

遺物整理の現場から 10 ―須恵器坏と椀に見える小石 [整理作業]

 どの瓦も硬く焼しめられ千年余を経ても布目・縄目の痕跡を良く残し、あまり風化を感じさせません。粘土も精製された土が多く小石などの夾雑物は少ないように感じます。特徴的な混入物としては南比企窯跡産の須恵器・瓦に多量に含まれる白色針状物と呼ぶ粒子が観察されます。前回までに記したように使用された粘土からも南比企窯跡で造られたものと思われます。一方、東院集落から出土する日用の須恵器椀坏類は南比企窯産の他に寄居町を中心に所在する末野窯跡産の製品も多く含まれています。この製品の中で特に目立った出土品は写真の須恵器坏や碗です。割れ口に土器の厚みより大きい小石が挟まっています。後から入れたものではなく元々石の多く含まれた粘土を使用したことが考えられます。写真の坏の場合、小石の大きさは土器の厚みを超えています。製作者の工人は、景色としてこの小石を残したのでしょうか。ろくろ引きの時には指当たって痛かったと思います。
image013s.jpg
image009s.jpg
image012s.jpg
image010s.jpg
image011s.jpg

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。