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群馬 高崎の旅ー熊谷の名工の足跡を辿るー その1.榛名神社② [熊谷の名工]

 「双龍門」をくぐり、階段を登ってさらに奥へ進むと「本殿・幣殿・拝殿」、「国祖社・額殿」、「神楽殿」が現れます。
 緻密な彫刻が施され、榛名神社の建造物の中でも最も荘厳で華麗な「本殿・幣殿・拝殿」は、まだ修理工事が行われていなかったため、拝観することができました。
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 権現造の様式で、岩に組み込むように建てられた他に例のない珍しい社殿です。
 黒と朱色の漆塗りが残るのみで、屋外で風雨にさらされた社殿の彩色は剥落し、そのほとんどは失われていますが、拝殿の海老虹梁に巻き付く龍の彫刻や丸彫りによる霊獣、緻密な籠彫りなど、躍動感のある彫刻は、どれも圧倒されます。
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 この榛名神社「本殿・幣殿・拝殿」の彫刻は、彫刻師・関口文治郎の最後の作とも言われています。文治郎は、“上州の甚五郎”と称され、師匠の石原吟八郎とともに、熊谷市妻沼の国宝・歓喜院聖天堂の再建に携わった人物で、多くの県・市指定有形文化財にその名が刻まれています。
 また、榛名神社の建立には熊谷市三ヶ尻村の内田家も携わっています。三ヶ尻村の内田清八郎も、国宝・歓喜院聖天堂の造営に深く関わった人物です。熊谷市上新田にある諏訪神社本殿は、清八郎が大工棟梁となり、歓喜院聖天堂の大工棟梁を務めた林兵庫正清、彫刻師の石原吟八郎とともに制作した建造物で、埼玉県指定有形文化財となっています。
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諏訪神社本殿

 2017年からはじまった榛名神社の保存修理工事は、2025年12月に完了予定です。5年後、修復の完了した榛名神社を見るのが今から楽しみです。



参考文献
阿部修治 2020 『甦る「聖殿山本殿」と上州彫物師たちの足跡』 株式会社さきたま出版
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