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「もの」と「ひと」の旅―5 妻娘たちへ [紀行]

 都へ出仕した武士たちは多くの文物を故郷へ持ち帰りました。その品々の中には家族、特に女性へのお土産は欠かさなかったと思われます。上中条のさすなべ遺跡からは、紅差しに使われた器が出土しています。菊皿(大小組み合わせた入子となる)といい、菊花状に縁を折り曲げた小さな陶器で紅(口紅)を入れたものです。都から運ばれ妻や娘にもたらされた品の一つです。「香合」は、香料を入れたものとされ、合わせ型の小品で中国渡来の白磁や青磁の品で小さいが高級品です。女性向きといえるでしょうか。また、「かがみ」と「櫛」は直球勝負の品でしょうか。
 これらの品は妻沼経塚や上中条のさすなべ遺跡などで出土しています。「和鏡」は花鳥の模様が通例です。櫛はなかなか残らないのですが、万吉下原遺跡の例では和鏡の上にほとんど朽ちた櫛が3点残っていました。当時の絵巻物では装束や調度品、など他にも多くの文物がみられます。都から東路の旅の到着点は家族の元なのでしょう。
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「青白磁合子」―妻沼経塚出土
上中条、さすなべ遺跡出土の「入子」破片
内面に紅朱が残り赤茶褐色に染まっている。
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「山吹双鳥鏡」‐妻沼経塚出土 「灰釉入子」―参考品

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