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新たな熊谷市文化財の指定について [お知らせ]

 2019年3月20日に開催された熊谷市文化財保護審議会において、「熊谷型紙『岸家』関連資料」、「長島記念館・邸宅」、「藍染絵馬・奉納額」の3件について熊谷市の文化財に指定するにふさわしいとの答申が出されました。これに基づき同3月29日の熊谷市教育委員会において審議をしたところ、ともに承認され、同日付で熊谷市の文化財に指定されました。文化財指定された3件の詳細については次の概要をご参照ください。


概要:文化財の指定について
(文化財保護審議会からの答申内容)

⑴ 熊谷型紙「岸家」関連資料
  ア 種別・種類 有形民俗文化財 
  イ 数量    関連資料一括(型紙13,083枚、型紙図案3,698枚、スクリーン型紙約100枚ほか)
  ウ 所在地   熊谷市桜木町二丁目33番地2 熊谷市立熊谷図書館
  エ 所有者   熊谷市(熊谷市教育委員会・熊谷市立熊谷図書館)
オ 概要と評価
 熊谷染型紙及び図案を中心とした岸家の関連資料(熊谷型紙「岸家」関連資料)は、熊谷染における小紋を中心とした染技法の原型であると同時に、熊谷地域の産業として隆盛し、美術工芸品としても高い評価を受けている熊谷染の文化的・芸術的意義を示す貴重な資料群である。また、岸家特許のスクリーン型紙にもその意匠は生かされつつ、最新の技術利用が示されている。
 こうした岸家熊谷染型紙関連資料に含まれるデザインや技巧性は、国内でも屈指の粋を誇り、染物として昇華されるまでの生産工程を明らかにするとともに、熊谷における伝統工芸の歴史を、今に伝える重要な価値を有している。また、その他の現存する熊谷染関連の資料群に対する調査研究に向けての知見を与えてくれる基礎資料となることは明らかである。よって、有形民俗文化財として、文化財指定に値する。

型紙図
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⑵ 長島記念館・邸宅
  ア 種別・種類 記念物・名勝 
  イ 所在地   熊谷市小八林1022番地
  ウ 所有者   公益財団法人長島記念財団
  エ 概要と評価    
 長島記念館・邸宅は、長島恭助の生家であるとともに、長島家の歴代当主が建造物の建立や作庭に関わってきた歴史を今に伝えるもので、建造物調査などによって、関東一円から集めた多くの職人集団の存在も明らかになってきている。また、使用された資材についても、高品質を求めて手配した形跡が棟木や関連記録などからも見受けられる。長島恭助の没後は、長島家が収集した美術品の公開施設の意味を付した記念館として今に至っている。
 収蔵されている美術品は、国内屈指の価値を誇るコレクション内容であり、邸宅全体の雰囲気と調和し、歴史の中で育まれてきた文化発信拠点としての特色を有している。よって、建造物と庭園の美と粋、そして美術品の展示施設の存在が融合された景観美は評価できるものであり、郷土への文化愛護に着手した経過を知るための歴史的資料としての意義を含んでいる。こうした観点から、記念物・名勝として文化財指定に値する。

図2.jpg



⑶ 藍染絵馬・奉納額
  ア 種別・種類 有形民俗文化財
  イ 数量    計5点
  ウ 所在地   熊谷市下川上33番地「愛染堂」
  エ 所有者   宗教法人宝乗院愛染堂
  オ 概要と評価
 奉納額には、「共進(きょうしん)成業(せいぎょう)唯賴(ゆいらい)冥護(みょうご)」と示されている。大きさは、横133㎝、縦79㎝、奥行5㎝である。これは、明治21年3月8日、藍染業を中心とした業界団体から愛染堂に奉納された額であり、揮毫者として「富岡製糸場」初代場長で渋沢栄一の義兄にあたる尾高惇忠の号(筆名)である「尾高藍香」の名が確認できる。額の願主には、養蚕や藍玉の一大生産地だった現在の深谷市域の地名が見えることから、商売繁盛や業界繁栄の祈願を行っていたことが分かる。その中には、渋沢栄一の義弟の市郎や、栄一の伯父で養蚕の改良に力を尽くした宗助の名前を見ることができ、尾高・渋沢両家の人々が、市域を越えて交流があったことを明らかにする歴史的資料であるといえ、有形民俗文化財として文化財指定に値する。
 なお、「藍染め絵馬四枚 附(つけたり) 奉納額」については、既に昭和61年1月1日に熊谷市指定民俗資料(現、有形民俗文化財)に指定されている。今回改めて藍染及び絹産業遺産に関連した分類の中で、文化財の概要を明確化するために、従来の「藍染絵馬」4枚の指定物件に加えて、「尾高藍香(尾高惇忠)」筆の奉納額を併せて指定することを念頭にする附としての位置づけではなく、「藍染絵馬・奉納額」として名称変更して指定することが適当である。

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宗家西川流日本舞踊発表会 熊谷・真咲会 [民俗]

 
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宗家西川流日本舞踊発表会が熊谷市立文化センター・文化会館ホールで開催されます。


開催概要
日時 平成31年3月31日(日)11時30分開場 12時開演 17時頃閉会予定

会場 熊谷市立文化センター・文化会館(埼玉県熊谷市桜木町2丁目33-2)

当日問合せ 電話: 048-525-4553(文化センター)

主催 真咲会

後援 熊谷市、熊谷市教​育委員会、熊谷市社会福祉協議会



概要
 熊谷地域において日本舞踊の伝承と練習を進めている宗家西川流の​「真咲会(まさきかい)」の初めての日本舞踊発表会。若手を中心​に5歳から18歳の児童生徒をはじめとした演者による披露行事と​なります。また、国内外で活躍する長唄の東音 安田麻里子(とうおん やすだまりこ)氏、三味線の東音 南谷舞(とうおん みなみやまい)氏などが演奏者側として出演します。その他、西川流​の名手たちが賛助出演する。約25名が出演。
  
 西川流は日本舞踊の五大流派(花柳流、藤間流、若柳流、西川流、​坂東流)の一つに数えられ、1700年頃の創設であり各流派のう​ち最も古いとされています。現在、宗家を始め複数の会があります。

 熊谷地域における宗家西川流の会である真咲会(まさきかい)の会​主は三井宣子(みつい のりこ)こと西川扇宣之(にしかわ せんのりの)氏です。熊谷市出身で会主長女の三井千絵氏は東京​藝術大学音楽学部邦楽科長唄専攻であり、本演奏会に向けて中心的​に指導を進めています。

 真咲会(まさきかい)の西川扇宣之(にしかわ せんのりの)氏は、熊谷市四方寺にある養護施設・社会福祉法人「​雀幸園(じゃっこうえん)」の前理事長の故・深田美奈子氏の依頼​により当園での日本舞踊指導を始めたことをきっかけとして、熊谷​地域の西川流日本舞踊の伝習が始まりました。今回の開催では、同じく​日本舞踊伝習団体の「かなめ会」や、熊谷市内で日本文化の発信を​続ける「熊谷和楽の会(くまがやわらくのかい)」などが協力団体に名を連ねてい​ます。

 協力団体の「熊谷和楽の会」は熊谷市名勝「星溪園」で夏の夕涼み​行事を毎年開催している他、真咲会の三井千絵氏は、平成30年4​月に同じく星溪園にて、熊谷市出身で三味線奏者の東音 布施田千郁(とうおん ふせだちか)氏と演奏会を開催し、好評を博しました。同会の門下生は​、箱田の川沿い作品展や高齢者施設などで、ボランティア活動の一​環として演奏活動を行っています。

同会は日本舞踊の後継者が育成されることを目的として​練習を重ねながら、公演等で披露していく機会を検討しています。現​在、国連機関ユネスコにおける世界遺産の中で、能や歌舞伎、伝統​芸能といった無形文化遺産の重要性が急速に高まっています。これに​ともない、文化庁を始めとした文化財行政では、無形文化遺産の恒​久的な保存が、歴史的な街づくりの上で必須であると捉え、後継者​育成への補助や、伝統芸能の発表の場を提供するなど、多くの働き​かけを行っています。

 本市では毎年「地域伝統芸能今昔物語」を開催しています。日本舞踊​をはじめ出演する保存会には小中学生を含む若手への伝習を進める​ようお願いしているところです。市内各地域にある舞踊などの伝統芸能行事につい​ては、文化財指定の有無にかかわらず、保存継承に向けて啓発して​いく必要があり、併せて積極的な発信を求められています。






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