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「イノシシ埴輪」  女塚古墳出土 [古墳時代]

 今年の干支はイノシシ、節分から立春を過ぎ、旧暦からすると本来の新しい年の始まりとなります。今年の干支「イノシシ」は「けもの」偏に「者」で表され、「けもの」偏はぶたを「者」は貯(チョ)に通じることから肉(シシ)をたくわえた豚の意とされ、日本では「猪」を意味するようになったとされます。
 イノシシは原始時代から多産の象徴と考えられ「山神の使い」とされ、縄文人たちはその姿を土偶に象っています。弥生人たちは「シカ」の姿も土器に描いています。そして、古墳時代人は両者の姿を埴輪に象っていますが、古墳時代のイノシシは狩られるものの姿で表現されることが多く矢を受けた姿のイノシシ像がみられます(群馬県)。神の交代、あるいは没落といった意識の変化がみられるとされ、このことは、アニメ映画「もののけ姫」に描かれた第二のテーマにも反映されているようです。
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女塚古墳出土 イノシシ埴輪

 上掲の「イノシシ埴輪」は熊谷市中条地内の女塚古墳から発見されたものです。平板の鼻が特徴的に作られており、牙も備わった成獣です。頭部だけが確認されているので全形はわかりませんが、シカの埴輪も出土しており、狩りの場面を再現したようです。
群馬県高崎市の保渡田古墳群(古墳公園とかみつけの里資料館があります)の二子山古墳(前方後円墳)の近くから発見された埴輪群の中に、上唇を上方向に折り曲げた粘土板で表現した女塚古墳と類似するイノシシ埴輪があります(保渡田Ⅶ遺跡)。この埴輪は矢を受けた表現があり、狩人とされる人物埴輪の腰には、獲えた動物が付けられています。
 女塚古墳のイノシシ埴輪、シカ埴輪とも江南文化財センターで展示しています。会いに来てくれたらうれしイノシシカもとイノシシとシカが言っています。
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イノシシ埴輪の口元アップ-女塚古墳
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