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遺物整理の現場から 8 ―「御」とは何のことか― [整理作業]

 寺内廃寺の瓦整理の途上、丸瓦(男瓦)の内面にヘラ描細線のある破片が見出されています。
 同類を集めてみると文字であることが判りました。平瓦(女瓦)に刻印やヘラ描文字が記される資料は寺内廃寺でも相当量ありますが、丸瓦例は少なく貴重な例のようです。文字は生瓦の状態から乾燥が進み粘土が硬くなった時点で描かれたと思われ、細い線でありながら大きな文字です。字画は簡略化され連続していますが「御」と読めそうです。寺内廃寺出土瓦には1文字から数文字のヘラ描と刻印がありました。いずれも武蔵国の郡、郷名を記してあり、武蔵国分寺へ献納されるため製作された瓦が使われたと想定しています。
 「御」が郡郷名とすると「御」と共通の読みや実際に使われた文字には、「橘樹郡御宅郷(美也介)」、「横見郡御坂郷(美佐加)」、「秩父郡美吉郷」の=美=御、「御」である可能性があります。「御」の文字瓦は、生産跡である南比企窯跡、南多摩窯跡等、そして供給先である武蔵国分寺跡から出土した瓦中にはこの文字はまだ発見されていないようです。
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丸瓦(男瓦)の内面に書かれた「御」文字
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平瓦(女瓦)の内面に書かれた「御」文字

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