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遺物整理の現場から 寺内廃寺出土「灯明盤」の「文字」1 [整理作業]

 寺内廃寺から日々の燃燈や法会に使われた灯明盤に文字が残されている資料を前回(出土瓦に残る文字1「郡名瓦―その1」)までに墨で書かれた「墨書土器」として紹介しましたが、今回は「ヘラ書き」された例を取り上げます。
 この文字資料は「刻書土器」と呼びます。本例刻書は土器を焼く前に書かれた文字で、文字の内容によって土器の性格付けがなされたことがわかります。このことは、共通する形、共通する特徴を持った寺内廃寺出土の土器は「灯明盤」として造られた可能性が高いと考えられることです。他の灯明盤では須恵器坏や碗、蓋も使用されていましたが、これらは転用品で本来はそれぞれの用途に使われる日用什器のうつわです。寺内廃寺の灯明皿は専用品は「灯明盤」、転用品は「灯明皿」と区別できると考えています。
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写真「赫坏」のヘラ書文字 灯明盤の内・側・底面

 この「灯明盤」の内底面には「赫坏」の文字がヘラ書きされ、「かくはい」と読むことができます「赫」は「ひかりかがやく」という意味と考えられ、灯明盤にふさわしい文字だと思います。この形をした灯明盤は一定の数が認められることから、寺院内での常用品とも考えられる一方、特別な法会のために特注されたとも推定されます。須恵器坏・碗などの日用什器のうつわは不足分として臨時的に使用されたと考えることもできます。まだ観察と検討が必要な状況にあります。
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