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中条古墳群の発掘調査 [古墳時代]

 中島地区の発掘調査が終了しました。沖積地に営まれた集落の遺跡でしたが、現地表より約1.7m下から住居跡が現れました。ほぼ方形をした5軒の竪穴住居が一部重なっており、何度か建て替えがあったようです。古墳時代初頭(4世紀前半)にかかる時期で、この時代に特徴的なS字口縁台付かめ、有段口縁つぼ、小型器台などが多量に出土しています。これらの土器類は関東以西の地域に分布の中心があると想定される遺物で、これらの土器と種子を携えた人々が熊谷地方に移住してきたこと想像させます。
 また、特に貴重な発見は、土器を取り除いた床面から鍛冶炉が検出されたことです。つまりこの建物跡では鉄器を生産していたことがわかったのです。当時は、朝鮮半島からもたらされた鉄を素材に農具や武器を加工・製作していたと考えられています。実際に地方での加工現場が判明する機会は少なく、埼玉県では「行人塚遺跡(熊谷市成沢)」・「山崎遺跡(宮代町)」例とともに最古の列に加えられます。鉄器生産という先進技術の定着をうかがわせる鍛冶遺構の発見は、後の中条古墳群や北島遺跡にみる有力豪族の出現と集落の成長の元となる地域社会の成長を物語る有力な資料になると考えています。
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右手が1号住居跡完掘状況  床面に鍛冶炉が設置されていた。

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鍛冶炉の直上から出土した土器 有段口縁壺 器台 手前、S字状口縁台付甕

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床面に検出された複数の鍛冶炉跡 左側、直径約16㎝同心円状に焼けている。
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