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凹石と敲石 [縄文時代]

市内千代地内の西原遺跡は、縄文時代中期の集落遺跡で、多量の土器や石器が出土しています。
今回紹介する石器は、凹石(くぼみいし)と敲石(たたきいし)です。
IMGP0742.jpg
↑の凹石は、長径14cm程の楕円礫を使用したもので、直径2.5cm、深さ1.5cm程で逆円錐状の凹みが、上面に2箇所、裏面に1箇所認められています。凹石の用途は定まっていませんが、粉砕するためにクルミ核を置いた台石との説が有力です。
立正大学文学部特任教授の久保田氏の指摘によると、この凹石の凹みの形状は、クルミの「先端」部を置いて粉砕したため、その形状がコピーされているとのことです。そのため、きれいな逆円錐ではなく、凹みの先端部が深く凹むアクセントがつくということです。
一方、台石に置いたクルミを割る敲石は、クルミ核の「成り口」部を敲くことから、敲石には「成り口」のゆるやかなカーブがコピーされるとのことです。↓がその敲き石です。以前紹介したように両側縁は打製石斧製作用に剥片を敲いたV字状の痕跡が確認されますが、平らな面には緩やかな凹みが2箇所確認されます。
IMGP0748.jpg
久保田氏によると、この両石器は、クルミ核粉砕用石器のセットをなすものということになります。
石器に残された凹みの形態の違いから、2つの別々の石器が一つのセットをなすという考え方は、石器の具体的な使用法を特定するこれまでにない新しい視点です。
r-jofig2.jpg
参考:久保田正寿 2014:「縄文時代のクルミ核破砕用石器の一類型」『万吉だより』第19号 立正大学博物館館報
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