SSブログ

諏訪木遺跡出土「土偶形容器」 [弥生時代]

7月~8月に発掘調査を行っていた、市内上之地内に所在する諏訪木遺跡より、弥生時代中期後半の「土偶形容器」がほぼ完全な形で出土しました。
IMGP0035-1.jpg
この「土偶形容器」は、弥生時代中期後半の住居跡から出土したもので、これまで、諏訪木遺跡に隣接する前中西遺跡からも、土偶形容器は、破片での出土例はありましたが、ほぼ完全な形での出土は、県内では初めての例になります。壺形土器を元にして製作されたものと思われ、お腹の膨らんだ微笑ましい体形に見えます。胸の表現が無いことから、男性像と思われます。
器高18cm程の大きさで、頭頂部が開口し、中は中空となっています。頭頂部および底面に赤彩が認められます。大きな耳には、2箇所の穴が穿たれており、頭頂部および頬には縄文が施文されています。アゴの部分には剥落痕が認められ、髭またはアゴの表現がなされていたものと推測されます。頸部には横位の簾状文が施文され、両腕はお腹の前に置かれています。指の表現もあり、前腕部には3条の刻みが施されています。
耳の穴はピアス穴、首の頸部には横位の簾状文はネックレス、顔の縄文は刺青、前腕部の刻みは腕輪を表現しているものかもしれません。
耳飾りの風習は、縄文時代には確認されていますが、弥生時代にはほとんど見られなくなります。耳たぶの大きさの変化、あるいは狩猟文化から農耕文化へと移り変わる過程でのアニミズム(生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂もしくは霊が宿っているという考え方)の変化など諸説あり定かではありません(参考:浜本隆志 『アクセサリーが消えた日本史』 光文社新書)。
この「土偶形容器」は、熊谷に居住した弥生人の様子が具体的にうかがえ、当地域の様相を研究・検討するうえで重要な資料となるものと思われます。

本資料は、平成26年9月29日(月)から、平成27年3月31日(火)まで、熊谷市立江南文化財センター(熊谷市千代329:048-536-5062:土曜日、日曜日、祝日、年末年始休館)展示室にて速報展示いたしますので、ぜひご覧ください。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

展示替え特別展「甦る鉄剣」 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。